朝礼の白いライン 爪先を合わせて
号令が降ってくる 前へならえ、って
腕を上げるだけの 簡単な作業で
僕の輪郭が 消されていく気がした
「みんなそうしてる」が 理由になるのなら
心臓はいらないだろ 拍だけ打っていれば
整列 はみ出した半歩を 間違いと呼ぶなら
僕は間違いのまま ここに立っていたい
揃えられた朝に 揃わない僕がいる
それだけで世界は 少し歪んで見えるはずだ
上履きのかかとを 潰して歩くやつも
ノートの隅の落書きも 点呼じゃ呼ばれない
正しさの行進は 今日も定刻通り
遅れた僕の影だけ 白線を跨いだ
「悪目立ちするなよ」と 善意の顔が言う
目立たない僕たちは どこに立てばいい
整列 右へならえの右が 誰なのか知らないまま
倣い続けた列の 先はまだ見えない
揃えられた朝に 揃わない僕がいる
乱れたその一点が 僕の生きてる証拠だ
シュプレヒコールは要らない
大きな声は、苦手なんだ
ただ この半歩だけは
誰にも渡したくない
それだけなんだ
整列 はみ出した半歩が 僕のすべてだとして
それを間違いと呼ぶのは いったい誰
揃えられた朝に 揃わない僕がいる
ねえ 君はその列で ちゃんと息ができてる?
前へならえ 前へならえ
——前って、どっちだ?